初代戦場のヴァルキュリアから10年。
初代に続いてPSP版の2・3、そしてVita/PS4版の番外編と来ての4。
4は初代ファンが待ち望んでいた戦場のヴァルキュリアといえるでしょう。
ようやくクリアしたのでレビューを書きます。
原点回帰
BLiTZシステムは当然ながら、グラフィックも、音を文字で表現する演出、効果音やBGMも初代を彷彿とさせるものばかりです。世界観も初代を思い出させます。
まさに原点回帰。
初代を知るプレイヤーは懐かしく感じ、知らないプレイヤーは新鮮に感じることと思います。
10年を経て、ここまでブレていない正統な続編がプレイできるとは思いもよりませんでした。
基本的なシステムの変更もほとんどなく、追加されたものとしては兵科に擲弾兵が増えたのと、リーダー任命、ブレイブくらいじゃないでしょうか。
あと、シップオーダーなんてのも追加ですね。
初代と全く同じ操作感
良くも悪くも全く同じです。
初代からプレイしているプレイヤーなら、説明がなくてもプレイできると言い切れるほど同じ操作感です。
私は初代をPS3でプレイしました。4はSwitch版のみプレイしているのでプラットフォームも違うしコントローラーも違うのですが、違和感が全くありません。
プレイしながら、あぁそう言えばそうだったなぁと思い出すことしきりです。
これには賛否あるとは思いますが、個人的には良い点だと捉えています。
操作性が悪いのは否めませんけども。
初めてのプレイヤーだと他にはない独特なシステムも相まって操作感が悪いと思うことも多いでしょう。
初代をプレイした時には、戦車がうまく動かせなかったことや必要以上に慎重になりすぎていたのを思い出します。
俯瞰マップ画面でユニット選択がしにくいのも同じです。
操作に関しては最初に乗り越えなくてはいけない、ちょっとしたハードルがあります。
多彩な登場キャラクター
主要キャラクター以外にも味方陣営の美男美女はもちろんオッサン、オッカサン、オカマサンまで、敵味方含めて色々な人物が登場します。
やりこみ要素としてのキャラクター
キャラクターには相性や断章(ショートストーリー)があり深みをもたせています。
確かに多くのキャラクターがいるのですが、行動回数(CP)が増えるキャラクターは出撃させないと不利になります。そのため、CPが絡むキャラクターはほぼ固定になります。(ストーリーの都合上強制出撃の場合もある)
それが出撃枠を圧迫するので、それ以外のキャラクターも徐々に固定化されていきます。
多彩なキャラクターがいますが、やりこみ/隠し要素のための存在となってしまっている点は少し残念です。
兵科によってキャラクター数に偏りがある
支援兵はどの戦場でもほぼ必須の兵科なのですが、支援兵のキャラクター数が少なく、ここだけ選択肢が極端に狭く感じます。
通常プレイで仲間になる支援兵は正直微妙なキャラクターばかりで、積極的に使う気にならないけど使わざるを得ないというジレンマ。
擲弾兵と狙撃兵については、レイリィとカイ以外は出撃の機会があまりありません。
擲弾兵も人数が少ないのですが、レイリィはCPの関係で出さざるを得ません。そのため、他の擲弾兵は出撃の機会が少なくなります。
狙撃兵も同様でカイ以外は出番があまりありません。
偵察兵や突撃兵は戦場において数が必要な上に脱落しやすいので、キャラクター数が多くなるのは自然なことですが、他の兵科ももう少し多めにして欲しかったです。
出番は用意されている
確かに兵科の偏りはありますが、戦場によっては対戦車兵を多めに出さないと攻略しにくかったり、狙撃が必要といったステージがあり、普段あまり使わない兵科やキャラクターを使う場面が用意されています。
感覚として対戦車兵は比較的使う場面が多いのですが、狙撃兵や擲弾兵は少し微妙な立ち位置です。
繰り返しを強要される
後半になると何度か繰り返さないとクリアしにくいような仕掛けが施されている、初見殺しのステージが出てきます。
たとえ倒されたとしても、衛生兵を呼べば死亡にはならないので粘り強く戦うと勝てるケースが多いのですが、それでも死亡させてしまったり、どうにも攻略が困難な状態になるケースがあります。
途中セーブができるので、トライ&エラーで押し切る方法もあるのですが、出撃メンバー選択を失敗するとやり直したほうが早くなります。私の場合だと敵車両が多いのに対戦車兵が一人もいない、対戦車兵でないと破壊できないオブジェクトが破壊目標といった、対戦車兵がらみでやり直すことが多かったように思います。
ブリーフィングでなんとなくわかる場合もあるのですが、後半になると、そんな大事なこと早く言えよ…と思うこともしばしば。
引き込まれるストーリー
戦争というテーマで展開されるので全体的に若干重め。ときには明るいストーリーもありますが、後半はひたすら重いです。
後半の寒く薄暗いフィールドも重たいストーリー展開に一役買っています。
正直、どうなのかなぁと思うような展開もありますが、どのようなストーリーであれ、プレイヤーは進める以外になく、受け入れていくしかありません。
その不条理さを受け入れるしかないプレイヤーの心情と、ストーリー内でのクロードの苦悩が重なり、引き込まれる要因になっています。
クセが強すぎる敵
初代もそうでしたが、敵の戦車隊のオッサンが良い。ヴォルツのストーリーがあったらプレイしてみたい。
対象的に他の敵キャラクターはネジが飛んでいる。
ニコラ、キアラ、クライマリアは薄幸過ぎて何とかできないものか…と思ってしまうし、フォルセ、ベルガーは完璧におかしい人。
敵のほうがインパクトが強く、魅力的に見えてしまうのはあるあるでしょうか。
ストーリー最大の不満
全体を通しておおよそ不満はないのですが、ひとつだけどうしても受け入れがたいのはクライマリアとの決着をつけるステージです。
近接攻撃しか効かず、試してみて有効だった火炎放射をひたすら繰り返す方法で倒しました。他にもっとスマートな倒し方があるのかもしれませんが、接近して攻撃する以外に特にヒントもなく、私にはこれしか方法が思いつきませんでした。
火炎放射→突撃兵やられる→衛生兵&火炎放射→突撃兵やられる…の繰り返し。
なんだこれ…胸クソ悪いわ!と思いました。
だってそうでしょう?
最強の敵であるヴァルキュリアとは言え、一人の敵に対して至近距離で火炎放射を何度も繰り返すとかクソつまらない。
やられた味方を回収しつつ火炎放射で次のターンは倒されるので別の突撃兵で回収しつつ火炎放射…。
繰り返し以前に、そもそもプレイしていて気分が悪い。
クライマリアのストーリーもちょこちょこと見させられた後になんでこんなことさせるの。
ここは本当にひどい。ここだけは絶対にダメだ。
難易度も相まって、ここで投げ出しかけました。
まとめ
画面も音楽もこのゲーム独特の世界観があり、すばらしいです。Switch版でプレイしましたが、PS4版でプレイしたかった。
オール評価Sを狙ったり、武器の開発や鹵獲などによるコンプリート要素、その他隠し要素もあるので、クリア後もプレイする要素が残されています。
物足りないのはストーリーが一本道で自分の行動によって分岐するような多彩さがないところです。
私のやりこみが足りないからかもしれませんが、クリアしても広げた風呂敷を畳みきれていないというか、あれはどうなったの?これはなんで?みたいな疑問が残り、スッキリしません。
ストーリーを考察する余地があるといえば聞こえは良いのですが、クリア後の充足感はあまり得られませんでした。最後までクリアしても、モヤモヤするんですよね。
初代のパン屋のほうが私は好きです。
ストーリーの好き嫌いはあるにせよ、初代をプレイしたことがあるプレイヤーも、今作がはじめてのプレイヤーも満足できるゲームだと思います。