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「高い城の男」エピソード1&2を見た感想

高い城の男

第二次世界大戦に日本とドイツが勝利した世界のお話で、原作はフィリップ.K.ディック。
私も中学生のころ、原作を読みました。さすがにもう内容は憶えていませんでしたが…
ナチュラルにネタバレしているので、見ていない方はご注意を。
私は吹替と字幕があれば吹替で見る派なので吹替版を見ました。

Amazonオリジナル作品でPrimeなら見放題です。

あらすじ

日本とドイツが第二次世界大戦に勝利し、自由とはほど遠いディストピアな世界。
主な舞台となるアメリカは西海岸側を日本(日本太平洋合衆国)、東側をドイツ(大ナチス帝国)分割統治しており、両国の間には緩衝として中立地帯が存在している。
そんな世界に謎のフィルムが存在しており、そこには今の世界とは異なる歴史の内容が映されており、圧政に抵抗するレジスタンスはそのフィルムこそが自由への鍵と信じてフィルムを集める。
そのフィルムを巡る争いにジュリアナは巻き込まれていく…

こんな感じでしょうか。

世界観

序盤の舞台、サンフランシスコの風景に日本語の看板が紛れていたり、やたらとゴチャゴチャしたところとか、妙な既視感があります。やや「日本」というより「アジア」な感じはありますが。
それと逆にナチスに支配されている地域は何もかもが整理整頓されていて整然としています。怖いくらいに。
また、科学技術がものすごく発展している様子もうかがい知ることができます。ニューヨーク~ベルリン間を短時間で結ぶ音速ジェットが出てきたりします。
それぞれの国家の文化や文明の違いは映像を通してわかるようになっています。
映像の美しさは言うに及ばず。

序盤のストーリはわかりにくい

このわかりにくさは、序盤で挫折する人も多いんじゃないかと思います。
単純な二極対立ではなく、群像劇なので各人物の立ち位置がわかってこないとストーリーが入ってきません。

序盤はジュリアナとジョーを中心に進みますが、各人の行動をイマイチ理解できません。
ジュリアナはなぜそこまでしてフィルムにこだわるのか?
ジョーはなぜそこまでしてジュリアナを助けるのか?
ジュリアナとトルーディの関係性がわからないまま話が展開していくので、妹であるトルーディから託されたフィルムになぜそこまでしてこだわるのかが理解できません。まぁ妹が命をかけて守ったフィルムで、これが希望だからと託されたからと言われればわからなくもないんですが…
また、ナチスのスパイであるジョーが任務を無視してまでなぜジュリアナに肩入れするのかも理解し難い部分です。

一方で権力者側の行動はすごくよく分かる。
ナチスのスミス大将、日本の田上大臣や木戸警部の行動はわかりやすい。
家族のためであったり、国を守るため、平和のため、目的は様々ですが行動する動機が明確です。

フィルムの謎

そして、フィルムに関する情報はほとんどわからないまま、話はドンドン進みます。
この世界には多くのフィルムが存在しているのですが、フィルムに映っているのは今の世界の時間軸ではない映像が映されています。それは未来であったり、平行世界であったりするので謎は深まります。
なぜそんなフィルムが存在しているのか?何のため?なぜ集める?
その謎がわかってくるのがエピソード1の中盤~終盤なので、そこまで見ればがぜん面白くなります。

平行世界

何度か田上が別の時間軸の世界(いわゆる平行世界)へ移動するんですが、そこでフィルムの謎も解けていきます。
なぜ未来や別世界の出来事を映したフィルムがこの世界に存在しているのか。
琴道の秘密もなにげにサラッとわかります。
結局、フィルムの価値を見いだせているのはヒトラーと高い城の男であり、それを利用して片や世界を支配しようと、片や自由をつかもうと画策します。
そして田上は平行世界から持ち込んだフィルムを使って平和をつかみます。

私はすべてのフィルムは平行世界から持ち込まれたものだと考えているんですが、その辺りは次のエピソードがあれば明らかになっていくのかもしれませんね。

謎が解けていく快感

序盤のモヤモヤした感じが大きいぶん、エピソード1後半~エピソード2でどんどん謎が解けていくのが快感です。
急激にストーリーのスピード感が増すので、一気に引き込まれます。
ただ、スピード感が増す分、注意していないといろいろなことに気づかずに過ぎしまうかもしれません。
特にレジスタンスの立ち位置は前半と後半で全く異なるので、いつの間にこんな事になってるの…と思いました。

日本人の描写

全体を通して日本とナチスは悪者として描かれているんですが、田上については立場上優柔不断な印象も強いのですが「良い人」として描かれています。
同じ日本人である木戸は任務に忠実で一見冷酷な人物のようですが、戦争回避のために懸命に動くなど信念の人という印象です。
それはナチスの大将、スミスにも言えることで、目的のために手段を選ばない人物ではあるけれど、家族を守るためにも手段を選ばないあたりが単なる悪役や憎き敵には見えません。
他にも田上の補佐である琴道や、木戸と行動を共にしている吉田もそれぞれの良きバディという感じで良かったです。

正義とは?

ずっと自由のために正義を行っている風のレジスタンスも、結局ナチスとやっていることが変わらないという一面を見せます。
話が進むに連れ、レジスタンス=単なるテロリストに見えてきます。結局彼らの戦う理由の根底には復讐や怨念しかないんですよね。
逆に今まで悪役だと思われたスミスや木戸が結果的に多くの人の命を救うところに、正義の多様性を見た気がします。自分が正しいと思って行動しているとしても、過程も結果も正しいとは限らない。
権力を持っている側の人間が戦争を回避させ、多くの人を救い、レジスタンスがテロリストとして堕ちていくのを見ると、力なき正義は無力であり、正義なき力は圧制という言葉が思い浮かびました。

残る謎

最も謎だったのはトルーディの存在です。
彼女は何者だったのでしょうか…

そして、高い城の男とレジスタンスの関係性も今ひとつ理解できませんでした。彼はレジスタンスとトルーディを利用してジュリアナを焚き付けた?
高い城の男は登場シーンも少ない上に変人のようにしか見えず、謎が多いです。

総評

各人の行動が色々な場所や人物に徐々に影響を及ぼしていき、小さな出来事が大きなうねりとなって世界の流れを変えるというダイナミックな展開を楽しめるのは、群像劇ならではの面白さだと思います。
スロースターターで序盤の退屈さはありますが、話が進むにつれ各人物の行動が思わぬ結果を招いたりと、一見なんの関わりもなさそうな出来事がストーリーに大きく絡んできたりと面白くなっていくので、序盤の展開は目をつぶって最後まで通して見て欲しい作品です。

個人的には最後に高い城の男がちょろっと出てきて偉そうに良い人ぶって終わるというのは何それ…という感じは拭えず、スッキリしませんでした。続きが制作されるのであればその辺りの謎もスッキリさせて欲しいところです。

 

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