思ったよりボリュームがあったので2つに分けました。その1はこちら。
最後までプレイしてどうだったのか
良いところ
・幕末の江戸や京都の町並みを自由に歩き回れる。
・移動が快適。オープンワールドでの面倒なことを極力排除した親切設計。
悪いところ
・わりとたくさん。ネタバレありで以降に書きます。
何しろ最悪なストーリー
まず、ストーリーは好みがあるのでどう感じるかは人それぞれという前提で、あくまで私の属人的な感想ですが、ひどいです。
後半、メインストーリーは鳥羽伏見の戦いを迎え、エンディングに向かいます。
私は鳥羽伏見の戦いを佐幕で進めて、並み居る薩長の倒幕派の志士をぶちのめしてやったわけですよ。西郷も桂もボコボコにしてやったんですよ。
そうかと思えば、次の瞬間「今が好機!」とか抜かして元気いっぱい前線で指揮してる。
は?意味わかんねぇよ。マジでクソ。最高にクソ。さっさと首刎ねろや。
文字で書いても意味がわからないと思いますが、実際にプレイしてた私ですら意味がわかりません。
プレイヤーが選択し、進めたストーリーが全く逆の結果につながる。殺したいほど邪魔な相手もストーリーの都合で殺せない。雑魚の首はコロコロ転がすくせに。(CERO Zの場合)
これはほんの一例で、一時が万事。
その1でも書きましたが、桜田門外の変で井伊直弼を切らなかったのに、井伊は結局殺されてしまいます。
吉田松陰を助けに行っても助けられる選択はありません。(これはわからなくもないけど)
プレイヤーの予想を裏切るストーリーと、プレイヤーの選択やプレイの結果を裏切るストーリーというのは全く別物です。
このゲームは完全に後者で、プレイするモチベーションを片っ端から折り、フラストレーションを溜めさせるスタイル。
横浜~江戸あたりまでは、志士と交流して誰と何を目指すかを探っていく段階だと思うので佐幕と倒幕の間をフラフラしていても気にならないのですが、京都に上る段階まで進めると方向が決まってきます。
新選組に入っていると思っていたら、実は入っていなかったときは状況を理解できなかったし、心底呆れました。新選組と一緒に行動することを選択したのに意味わからん。
問答無用で襲いかかってきて、倒されると話を聞こうと言いだす西郷隆盛はこちら。
江戸の後半~京都以降はもう無茶苦茶。破綻してる。かなりヤバい。
マルチエンディングとは
ストーリーは一本道。プレイヤーの選択は虚しく無視されて進みます。
そしてエンディング。マルチエンディングと聞いていたけれど、エンディングで出てくる映像がちょっと変わるのをマルチエンディングと呼ぶのか。
確かにざっくり2種類のエンディングがあるからマルチエンディングとも呼べるだろうけど、我々が欲しかったのはこれじゃない。
佐幕開国や尊王攘夷の未来を目指してプレイしても最後は同じ。その未来が達成できなかったとしても最後が全部同じなのはガッカリです。
ちなみに私は初回プレイ時は高杉、竜馬、沖田全員生存、片割れを生かして終わりましたが煮えきらない最後でした。
かさ増しされたボリューム
当初は思っていたよりすごいボリュームのあるゲームだな、と率直に思いました。
ですが、それはまやかしでした。
必要性の薄いオープンワールド
幕末オープンワールドがこのゲームの売りのひとつなわけですが、オープンワールドはかさ増しに使われているだけです。
メインストーリーだけ進めるのであれば、自由に移動できる必要はないように思います。
探索要素やサブミッションのためだけにオープンワールドがあるだけ。
メインストーリーだけで構成してしまうとWolongと同じになってしまうし、ゲームとして薄すぎるので自由に歩き回れるようにしましたという印象です。
その自由に歩き回れる要素にしても、猫や蔵、名所や写真ポイントを広いマップの中から探し出すためだけにあり、有効に使えているとはとても思えません。
正直、探すのめんどくさくなって飽きます。
ゼルダの伝説BotW/TotKやGTA5のように移動してるだけでも楽しいということはなく、むしろ移動が足かせになっていて、その足かせを外すために移動手段が多く用意されている感じ。本末転倒。
オープンワールド+ミッションという仕組みのせいで立ち位置がわからなくなる
ストーリーのところでも触れましたが、佐幕派として選択・行動していても、倒幕派のミッションを受けることができてしまいます。逆もしかり。
後半になると、それが自分の立ち位置を見失う要因となります。
新選組に所属しているつもりだったのに新選組相手に大立ち回りしてみたり、そうかと思えば新選組の隊士と一緒に行動してみたり、訳がわからなくなります。
それもこれも、オープンワールドのマップ上にミッション開始のポイントを配置しただけの作りのためです。
自分の主義主張や所属によって受けられるミッションが制限されていればよいのですが、何でもかんでも自由に開始できてしまうので、開始するタイミングによってはストーリーと矛盾するような展開になってしまいます。
この作りではプレイヤーの立ち位置がわからなくなるし、散々書いていますが佐幕/倒幕の選択をする意味がありません。
プレイヤーがミッションを受けないという選択は確かにありますが、制限なく受けることができてしまうので、ストーリーと矛盾する内容のミッションも開始できてしまいます。
そこに何かあれば見に行くのがプレイヤーってもんでしょう。これは私が特別というわけではないと思います。
メインストーリーとサブミッションが全く管理されていないので、メインストーリーの展開がおかしく感じられることも多いです。
人間味のないNPCたち
維新の有名人と交流できる要素は面白いんです。それはそれで良いんです。
ですが、いつも決まった場所にいるだけで全く人間味がありません。
NPC以上でも以下でもないというより、今どきこんなNPCないんじゃないかとすら思うくらい残念。
せっかくオープンワールドのゲームなのに、街のどこかで不意に出くわすみたいなこともなく、いつも同じところで突っ立ってるだけ。
時間の流れもちゃんとあるのに、ずーっとおなじところに突っ立ってる。
お尋ね者は夜しか出没しないとかあるのに。維新志士たちはいつも同じ場所に居る。
そして下がらない好感度。敵対するミッションを進めようが、ミッションでボコボコにしようが好感度は下がりません。
そのため、好感度を上げるのが単調な作業になってしまっています。
取ってつけたような因縁や好感度のパラメーター、いりますかね?
結局、NPCもかさ増しの材料としてしか使われていなくてもったいないです。
期待が大きすぎた
結局これに尽きるのかなーと思います。
プレイヤーは幕末の志士として活躍するのかと思いきや、よくわからん忍者もどきで最初から無理やりやらされている感が強いです。WoLongと同じパターンです。
そもそも「片割れ」の存在を軸にストーリーが展開するのに、プレイヤーはそこまで「片割れ」の存在を重要に感じられません。なんか邪魔してくるしつこくいヤツ程度の認識です。
(私はそう感じた)
登場する維新志士たちはそれぞれ信念を持って動いているのに、志士と共に行動するプレイヤーは別の信念で動いている上に、その「片割れ」の重要さもわからないため感情移入しにくいです。
プレイヤーの選択を無視する強引な展開もシラケます。
最初に一生懸命キャラメイクしても、片方は最後の最後まで敵キャラとしてしか出てこないとかね…本当に最初から最後まで一貫してプレイヤーを小馬鹿にしてるのは見事としか言いようがありません。DLCで片割れサイドみたいなのを出すのかもしれませんが。
光栄の幕末モノでオープンワールドとくれば、どうしたって期待は膨らみます。
維新の嵐みたいに自由に動き回って色々な人物と交流して、時に刃を交えて…ところが、予想は見事に裏切られます。
結果、思ってたのとだいぶ違うという感想になってしまったというのが正直なところ。
ゲームとしてはWoLongの延長線上にありクソゲーってわけじゃないんですが、無駄と納得いかない箇所と疑問がものすごく多いゲームでした。