[レビュー]ゴーストオブツシマ

我が家のPS4は子どもに占領されているので、ゴーストオブツシマをプレイしたいがために2台目のPS4を購入しました。
開発元のSucker PunchはSIEの子会社なので、PC版のリリースは期待できないというのも理由のひとつです。
PS5の発売が迫っているこのタイミングで悩ましい出費ではありましたが、後悔はありません。充分楽しませてもらったので。

さて、いきなりですがざっと良いところ悪いところを挙げると、

  • 良かったところ
    • 世界観や雰囲気
    • 美しいグラフィック
    • 選択肢の多い戦闘
    • PS4専用ならではの操作感
  • 悪かったところ
    • 共感できない主人公
    • 徒歩(騎乗)での移動が不便
    • チュートリアルがイラつく
    • 割と雑なところがある

良かったところの壮大さに比べると、悪かったところは重箱の隅ツンな内容ですね…全体的に良かっただけに細かいところが気になりました。
文化的盗用の話も海外ではでているようですが、その辺はまた機会を改めて。

このゲーム、知ってる

多くのゲーマーたちが感じたであろう既視感。
そう、主人公がアサシンからお侍になったオサムライ・クリードです。
岩場をひょいひょいと移動する様子は「あー、なんか見たことある」と私も我が子ですら同じ感想を持ちました。
アサクリ新作で日本が舞台と言われても、そうなんだーと思うくらい。

日本より日本らしい

私はゴーストオブツシマにおける日本の世界観をなんの違和感もなく受け入れることができました。

紅葉、温泉、滝、棚田、屋敷、人、どこを見ても日本。
実際はどうだったかはさておき、この時代の日本はきっとこんな風だったんだろうなという説得力に溢れています。よくある外国から見たニッポンといったものではなく、日本。
ゲーム内の世界ではあるので、日本より日本らしく感じさせられている部分はありますが、美しいと感じる日本の風景が再現されています。


この美しい風景があればこそ、海に浮かぶ蒙古の軍船の違和感、焼け野や残虐な風景がより際立ちます。すでに多く語られているので言うまでもありませんが、演出も細部まで日本らしさに対するこだわりを感じます。
琵琶法師の語りに合わせて墨絵で展開されるアニメーション、決闘前のカットといったビジュアル面はもちろんのこと、短歌や温泉で思いにふけるといった雰囲気、鳥居の先に神社がある、神社でちゃんと二礼二拍手一礼するところや、お稲荷さんに案内してくれるのが狐といった概念的な部分も日本の文化を知っていれば説明不要でしょう。

そこかしこで熊出没注意なのはご愛嬌でしょうか。

選択肢の多い戦闘

刀での戦闘は相手の武器に合わせて型を変えたり、弓による長距離攻撃がかなり強いかと思えば鎧で無効にされたりと、ワンパターンにならないように工夫されています。
これだけ使っとけばOKというものはなく、適切な型の選択、回避/受け流しの判断、飛び道具による牽制・攻撃といった要素を組み合わせて戦わないと、雑魚にすらあっさりやられます。

自分の得意な方法で戦える

突っ込んでバサバサ切り伏せるも良し、こっそりと暗殺を繰り返すも良し、飛び道具で遠くから狙い撃つも良し。

一騎打ちで数を減らしてから戦ってもいいし、いきなり突っ込んでもOK。
ストーリーの都合上の例外はありますが、自分の得意な戦い方で進めることができます。
ただ、決闘系のボスとは刀での戦闘となるので、最低限そこは抑えておかないと苦戦することになります。

敵の弓の理不尽さ

敵の弓兵の攻撃がバスバス当たります。
どんなに動いていても、どんなに遠くても、超至近で横移動しても、回避行動をしない限りとにかく当ててきます。下手すれば馬で走ってても当ててきます。
防御時に矢を払える技を取ればだいぶ緩和されますが、あまりにも命中率が高すぎる。必中と言ってもいいくらい。
敵は弓をバスバス当ててくる割に、こちらの弓は当てにくい。
弓に関してはかなり理不尽です。

PS4専用であることの操作感と体験

基本的なゲームシステムはアサクリに近いので、アサクリをプレイしたことがあればすんなりと馴染めますが、各ボタン等に割り当てられている操作が少なめでスッキリした操作感になっています。

使えるものは全て使う操作

PS4専用タイトルということもあってか、スライドパッドも含めDualShock4で使えるインターフェイスは全て使う仕様になっています。

このスライドパッド操作がクセモノで、戦闘中にうっかり触ってしまい、お辞儀してしまったりするのが笑えます。
戦闘中にお辞儀できる必要はないですし、シーンによってボタンの挙動がちょくちょく変わるよりはわかりやすく感じました。(私はGTA5で操作がわからなくなるタイプなので…)

当然悪い面もあり、L3押し込みでダッシュするというのは操作しにくく、押し込むときに変な方向を向いてしまうことがあります。R3/L3押し込みってあんまり使わないし、そもそも使いにくい。
R3/L3を押すとか画面に出ても、どのボタンのこと?と思うのは私だけではないはず。
あと、これだけインターフェイスをフルに使っているのに正面向きにカメラを移動させる操作がありません。システム的に急に振り向かれると困る事情があるのかもしれませんが、単純に不便。

振動による演出がいい感じ

ダメージを受けたときの振動はもちろんのこと、貴重品に近づくと画面表示や音ではなく、振動で教えてくれるのはとても良かったです。
あれ…?いま振動した?くらいの小さな感覚から始まり、近づくと振動が強くなるのは探さずにはいられなくなります。
他にも随所で振動を使った演出があります。

説明不足

操作に関する説明が必要最低限しかされないので、納刀したいのにできないとか、できそうなのにできない…けど実はできるんです!みたいな操作が最初のうちは多かった印象です。
スライドパッドで操作する納刀、笛を吹く、お辞儀するなどはオマケ操作みたいなものだからできなくてもゲーム進行上は支障ないのですが、刀を構えたまま人前を走り回るのはちょっと…ね。

迷う

設定した目的地まで風に導かれるのは良いとして、移動時にミニマップも向いている方角も表示されず、現在地を確認するにはOptionボタンでマップ表示と切り替えなくてはいけません。

位置や方角を少し確認したいだけなのに、毎回マップ表示させる必要があり、そのたびに移動が中断されます。
マップ全体に森が多く、目印も乏しいので迷いやすいのに移動中にミニマップ等は表示されません。
また、正面を向く操作がないのでマップを開いて確認しても、思わぬ方向へ進んでいたりします。
そもそも、ファストトラベルがあるんだからマップは覚えないし。
リアリティとか没入感以前に、ゲームなのだからそこは融通しても良いのに。

変なところでチュートリアル

冒頭の小茂田浜での蒙古との戦闘で多少操作説明はありますが、それ以降は新しい型を会得した後に説明されることがあります。
これがまた、それ今説明する必要ある?というタイミングで割り込んできます。
水の型は盾に強いとか説明するだけならまだしも、型の切り替えを迫られるのはイラッとします。
戦闘真っ只中で型を切り替えろとか言われましても…というか、うるせぇボケ!今忙しいんじゃ!って話。
バグなのか何なのか知りませんが、私は2~3回同じ型の説明を受けた気がします。私が全く型を切り替えていなかったからかもしれませんが。

陰鬱なストーリーと強烈な登場人物

映画などの映像コンテンツではあくまで鑑賞者ですが、ゲームではプレイヤー自信が選択を迫られます。
そのため、ゲームは映像コンテンツよりもプレイヤーがコミットする範囲が大きくなるため、受ける影響もより大きくなります。
ゴーストオブツシマのストーリーはかなり鬱な気分にさせられるものが多く、単に映像表現的な意味だけのCERO Zというレーティングとは違う意味で強靭な精神力や割り切る力が要求されるかもしれません。
ここからは若干ですがネタバレも含みますので、最後までプレイしていない方はご注意を。

クレイジーすぎる愉快な仲間たち

陰鬱なストーリーに負けない、癖の強すぎる仲間たち。

弟愛あふれる、ブラコンゆな。
復讐の鬼、バーサーカー政子。
そびえ立つプライド、サイコパス石川先生。
師匠に負けないサイコパス、フリーダム巴。
精神論者、老害志村。
温厚な常識人だが、キレると最強典雄。
声のインパクトがすごい、夢見がちな若者たか。
単なるお調子者にとどまらない、無能な働き者堅二。
行動が意味不明、こちらも無能な働き者竜三。

特に石川先生は戦闘中に後ろからうっかり射殺すレベルでヤバいですねぇ。(システム的に倒せませんが、何度かやってみた)

そして真のヒロイン、最初の愛馬。

最初の愛馬がかわいらしくて、あぁ、こいつがヒロインだわ、と思い始めてから突然に訪れる別れ。何という救いのないストーリー。
個人的には、ゆなと鑓川で飲み明かすシーンが結構好きです。

クエストがワンパターン

いつも足跡をたどっていた記憶しかない。

主人公に共感できない

主人公である境井 仁こと冥人も、序盤のモヤッとした感じが今ひとつ共感できず、感情移入できません。

物語序盤では武士として誉ある戦い方と、目的のために手段を選ばない戦い方をする自分に対する葛藤が描かれています。
武士らしくないやり方を強いる場面では、仁がやりたくなさそうな言動をすることもあり、突然回想ムービーを見させられたりします。
武士である境井 仁から冥人へと変わっていく様子を描く物語としては良くても、プレイヤーである私は「無理やりやらせといてなんだよ…」とシラケました。ストーリー上でも無理やりやらされた挙げ句、志村との対立があったりして、結局最後までモヤモヤした感じは抜けませんでした。

最初から一貫して対馬の民を救うという目的は変わっていないはずなのですが、その目的を共有・共感できないまま終わりました。

割と雑なところがある

この手のゲームで完璧なんて不可能なわけですが、手の込んだ世界観やグラフィックに比べるとシステム面では雑なところがあるように感じました。
先に挙げた同じ型の説明が何度もでてくる、戦闘中でも容赦なく操作を強制させられるのもそうです。

他にも、ムービーで馬の後ろ足がこんな状態になったり。
他にパッと思いつくのは、岩に向かってジャンプしたら着地できずにずっと浮かび続けて強制的に戻される、乗れる岩と乗れない岩の区別がつきにくい、むっちゃ狭い場所なのに槍兵が壁を無視してズンズン突きをかましてくる(これはプレイヤー側にも該当するから微妙ですが)、キイロイトリが軒下でハマってるなど。
フィールドのほとんどが屋外なので難しい面はあると思いますが、これはちょっとな…と感じることがしばしばありました。

あと、ムービーを見せたいのはよくわかりますが、スキップできないのが最高に無駄。

いや、それさっき見たし?

全てではありませんが、敵に倒されて再度チャレンジするときにも見させられるのは無駄でしかない。

もう見たし知ってるし?

とにかくムービースキップできないからおとなしく見てるしかない。
2周目だろうがなんだろうが容赦なく全て見させられます。
難易度を上げて2周目を初めたんですが、ムービースキップできなくて驚きました。1周目ならまだしも、なぜプレイヤーに選択肢を与えないのでしょうか。
アップデートが入ったのでスキップできるようになるかなーと思ったらなりませんでした…ずっとこのままなのかな。

まとめ

不満な点もありますが、確かに面白いゲームです。
鎌倉時代の元寇という、我々日本人にとって馴染みがありそうでなさそうな時代背景を丁寧に作り込んであります。
画面から伝わってくる雰囲気がとても心地よいです。(悲惨な風景もありますが…)
ボリューム感もちょうどよく、中だるみしそうなあたりで程よく切り上げて終わります。技も全部取って、護符も揃ってやることなくなってきたなーという、ちょうど良い頃合いでエンディングを迎えます。

余談ですが、2週目は英語+日本語字幕でプレイしていますが、解釈がおかしいところがあるように思います。わかりやすいところだと石川先生がSensei Ishikawaと呼ばれてたり、Senseiだけのときもあります。

おもに みみみ

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