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[レビュー]Wo Long: Fallen Dynasty 

いわゆる死にゲーです。
世界観もゲーム内容もSEKIROに近いです。
自分としてはクソゲーとしか思えなかったSEKIRO。果たしてWo Long(以下ウォーロン)は名作かクソゲーか?
正直なところ、名作とは言えません。だからといってクソゲーでもありません。
SEKIROよりは間違いなくゲームとしては面白いです。
確かに面白いのですが、SEKIRO未満の作品であることも間違いありません。
ゲームとしてベースはあれど、新規作品であるだけにバラツキが大きく、一貫性のなさやどう考えても理不尽な箇所が多くあります。
精力的にアップデートされているのである程度緩和されている部分もありますが、根本的な部分は変わりません。
高難易度のいわゆる2周目までクリアした時点のレビューとなります。
もうこれ以上プレイしないでしょうけど…

振り幅の大きいゲームシステム

ぶっちゃけゲームシステムはほぼSEKIROです。
やってることはだいたい同じで、SEKIROをもっと遊びやすくした感じです。

化勁に集中するだけでよいシンプルさ

相手の攻撃に合わせて化勁をすれば、武器攻撃だろうと弓だろうと妖術だろうとなんでも弾けます。
多くの攻撃手段を持ち合わせているボス戦ともなるとこのシンプルさはわかりやすく、相手の攻撃手段に合わせて回避だのジャンプだのと色々と考える必要がありません。
化勁のタイミングさえ合わせればノーダメージです。

きれいに化勁が決まると気持ちよく、さらに効率よく敵を倒すことができるのは楽しいです。

求めているのはそれじゃない

敵の攻撃を弾いて攻撃の起点を作るのがこのゲームの基本となります。
後の先なのでタイマンするときに有効な戦い方となり、ボスと戦うときはこれが難しくも楽しい部分となります。
ボスの強力な攻撃を弾いて強力な一撃を叩き込む、熱い展開ですね!

ところが、ウォーロンでは分身してくるボス(1体や2体じゃない、8体もいる)や江東の三バカ、バカコウ兄弟に代表されるようにボス戦なのに1対多で戦わなくてはいけない場面があります。

ぶっちゃけ、そういうのいらない。
本当につまらん。面白いと思って実装したとしたら最悪。

あと、巨大なボス。これもつまらない。

やることは普通のボスとほとんど変わらないくせに、自分の姿がボスの影に隠れてしまって見えなくなったり、何したら良いかわからなかったり、戦いにくいだけで全然楽しくありません。
そこにリソースを割くなら、他のボスやザコ敵のバリエーションを増やすべきではないでしょうか。

遠距離攻撃はするのもされるのも無駄

SEKIROもそうなんですが、遠距離攻撃はいらないです。何が楽しいのか全く理解できません。
多くの場合で敵から一方的に攻撃されるし、どこから打たれているかがわかりにくく、ストレスがマッハ。
眼の前の敵に攻撃されて倒されることとは全く訳が違うし、たとえ倒されなくても一発食らうだけでかなりイラつきます。

こちらから遠距離攻撃するときにだって、構える→狙う→打つ とプロセスが多くて面倒です。しかも弾数制限もあるし、面倒なことこの上ない。
また、弓で狙う操作がものすごくやりにくいのも不要と思う理由の一つです。
ロックオンして打てば倒せるくらいで丁度いいのに、急所を外すと反撃されてクソみたいな打ち合いをしなきゃいけない羽目になったり、長距離攻撃は本当に無駄。時間の無駄。
結局は面倒になって突っ込んで殴り倒すんですよ。

仙術?なにそれ?

仙術(魔法みたいなもの)という要素がありますが、あってもなくてもどっちでもいい要素。
使わなくても普通にクリアできてしまうし、何のために存在しているのかわかりません。
仙術ビルドみたいなことをする楽しみ方もあるのかもしれませんが、攻撃を化勁で弾いて戦うのが醍醐味のゲームシステムで中途半端な遠距離攻撃なんて使いにくく、武器に属性を持たせる必要性も全く感じません。
仙術を使うと気勢が減るのでバンバン使うことはできないし、だからといって超強力というほどでもありません。
強攻撃のために気勢を取っておいたほうが有効だし、単純に武器で攻撃するほうが楽しい。

良くできたシンプルな戦闘システムであるがゆえに、仙術の入る隙間がありません。
せめて気勢が減らなきゃ使い道も出てくるのかもしれませんが…

ステージの問題

ステージによって面白い、つまらない(はっきり言えばクソ)のどちらかに偏っています。
そもそも、このゲームでは探索がつまらないんですが、その中でもいくつか酷いステージがあってそのステージはもう2度とやりたくないと思うほど。

主戦場で具体的なステージを挙げると「吼える波濤」「不屈牙城」「脈打つ妖城」の3つは抜きん出て酷い。頭一つとかそれどころじゃないクソっぷり。

不意打ち、遠距離、落下

敵が潜んでいて不意打ちをしてくるのは、良くはないけど良しとしましょう。(ウォーロンでは不意打ちが多すぎる気がしますが)
問題は不意打ちしようとしている敵がいるとわかっていて、完全に見えているのに手を出せないところです。強制不意打ちされなければなりません。

わかってるなら不意打ちじゃないって話もありますが、こちらから先制攻撃や逆に不意打ちして倒すみたいなことができない場面がこれら3つのステージでは圧倒的に多いのです。

そして、遠距離攻撃してくる敵。

高低差があると相手の位置がつかみにくく、倒しに行くにもすごい遠回りをするか、こちらも長距離で対応するしかありません。

特に「脈打つ妖城」はこればっかりでツマンネー。

最後に落下。
これが最大の理不尽。


絶脈したら落ちる、元いた場所に戻ろうとしたら戻れずに落ちる、落下する場所とそうじゃない場所の区別がつかない、NPCが邪魔で落ちる等、とにかく理不尽。
落下しても即死することはありませんが、HPが1になります。
生きてるからとか回復すれば良いとかではなく、落下する理由が理不尽なので納得がいきません。

ウォーロンのステージにおいてダメな要素がまんべんなく盛り込まれたステージが先ほど挙げた3つのステージです。(ボス戦は別)
他のステージにも不意打ちや遠距離、落下の要素はもちろんありますが、これら3のステージは間違いなく圧倒的にダントツのクソです。

ストーリーが浅い

プレイヤーは義勇兵の一員という立ち位置で、三国志初期の黄巾の乱から始まり、董卓討伐、官渡の戦いあたりまでを舞台に、劉備や曹操といった英雄たちと共に戦っていきます。
などと書くとちょっといい感じかもしれませんが、ストーリーはファンタジー三国志です。
流れや登場人物は三国志に沿っていますがファンタジーです。
好みは当然あると思いますが、ストーリーに関してはSEKIROのほうが良いです。

何が浅いのか

ストーリー上の都合で自分はいきなり死にます。
そしたら目隠しの少年が出てきて、あなたは乱世に必要だとか言われて生き返ります。
そして戦乱の中へ…
いやいや、そんな端折られてもと思うかもしれませんが、これが導入なので引く。
主人公が義勇兵である理由も謎、なぜ選ばれたのかも謎。

謎のまま始まり、そして謎のまま終わる。

それっぽい説明はありますが、いまいちピンとこないまま終わります。
このあたりはもうちょっと丁寧に描いてもらわないと、意味がわからないままただ戦って終わったという感想しか出てきません。
よくある表現ですが、感情移入しにくいストーリーです。

三国志の登場人物との浅く広い交わり

劉備、曹操、孫家三代や武将たちとの広く薄っぺらい関わり合い。
なんかよくわからんまま三国志の英雄や武将たちと一緒に戦うのに、最後は三国志に関係なく自分たちだけで戦うみたいな展開で、せっかく引っ張り出した三国志の登場人物たちの存在感がありません。

都合よく三国志を出したり引っ込めたりしているところが三国志を知っていると気持ち悪いし、三国志を知らない人だと登場人物が多いくせに関わり合いが中途半端すぎてストーリーが全く入ってこないと思います。
三国志を知らないと、荀彧や郭嘉はほとんど絡まないのに同行者として選べても「はぁ?誰?」としか思わないし、黄蓋・程普・韓当の江東の三バカに同行してほしいとは思わないでしょう。
ストーリーが三国志を知っている前提になってしまっていて、非常に入り口の狭い作品になってしまっているのは残念です。

しらける展開

三国志でも孫策は若くして死にますが、本作でもストーリー上ではサクッと死んじゃいます。
が、薄っぺらいかかわり合いのせいで何も感じないし、于吉の不意打ちであっさり死んじゃうとか…
その展開を許したら、ほとんどの登場人物がその方法で殺せちゃうよね?
これはストーリー上の演出であっても絶対やったらダメでしょう。

三国志だと孫策が于吉を殺すので、ファンタジー三国志でその逆をやってみた的なノリかもしれないですが、これはない。(三国志では殺した于吉に孫策が呪い殺されたという話もありますが)
ここも三国志を知らない人が見たら「はぁ?何だそれ」としか思わないでしょうし、しらけます。
その後、普通に同行者として選べちゃうあたりもちょっとね…

邪魔な同行者(NPC)

先にも触れましたが、NPCが邪魔なシーンが結構あります。
敵と戦ってるときにペチャペチャしゃべってうるさかったり、ボス戦であっさり死んでほとんど役に立たなかったりと存在意義がありません。
ストーリーの都合で仕方なく連れて歩くだけで、愛着も何も湧きません。
一応、何度も一緒に戦っていると武将固有の装備がもらえたりしますが、そこじゃないんだよなぁ…
固有装備のために邪魔なNPCを連れて歩くのはうんざり。

これ、三国志知らないとすぐ死ぬ邪魔なヤツ程度にしか感じないのでは?
逆に三国志を知っていると、顔良・文醜にボッコボコにされる関羽や雑兵に倒される張飛なんて見たくなかったし、中途半端に史実をなぞってるだけに何だコレと感じることも多いです。
ゲームのシステムに乗っけるとこうなってしまうんでしょうけど、そもそもNPCのシステム自体の必要性に疑問を持ってしまいます。

ストーリーはあきらめている?

全体を通して、もっと三国志の登場人物と深く関わり合うようなストーリーにすることもできたはずだし、主人公のバックグラウンドだってもっと描くこともできたはずです。
ここまでくると、敢えて三国志の登場人物をサラッと紹介するような展開にしたのではないかと思ってしまいます。
三国志は長い話なので、今後の展開を考えて広く浅く、登場人物の紹介程度にとどめているのかもしれませんが、続編がなかったら本作はなんだったのかと…

まとめ

ウォーロンには面白いステージやボスがある反面、心の底から救いようがないと思う酷いステージやボスも存在します。

呂布や董卓、副戦場でタイマンで戦う武将との勝負はとても面白く、手応えもあり、攻略のしがいがあります。
その一方で、最低なステージや強制的に複数の武将と戦わされたりといった理不尽で本当につまらない部分があることも確か。

SEKIROは全体的を通してどこを切り取ってもまんべんなくクソゲーなのですが、ウォーロンは面白かったりクソゲーだったりが入り混じっていて中途半端です。
ウォーロンのつまらない部分とSEKIROを比べると、全力で振り切っているSEKIROのほうが勝っていると感じる場面があります。個人的には認めたくありませんが。
面白い、つまらないは属人的なものなので、私にとってはすべてクソゲーでも、他の誰かにとってはすべて最高だったりすることもあります。
ウォーロンのように、ここは良いけどここはダメといったバラツキがあるのは一番もったいないパターンです。良かったことより悪かったことのほうが印象に残るので、悪いところばかりが目立って折角の良いところが打ち消されてしまいます。
その点、SEKIROは作品を通して一貫性があるので、私にとってはクソゲーでも、誰かにとってはGOTYだったりするんです。

信じられないくらいのクソステージやクソボスの存在がウォーロンというゲームの価値を落としているように思います。
ゲームとして7~8割は面白いのですが、残りが本当に酷い。酷すぎる。
面白いと言い切れそうで言い切れない、そんなゲームです。

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