「少女終末旅行」を見終えた感想(後編)
長くなったので前後編に分けました。
→前編はこちら
少しずつわかっていくストーリー展開
ストーリーの序盤はとにかく情報量が少なくて、チトとユーリの過去もポツポツとわずかに出てくるのみでほとんど語られず、登場人物も少なく、この世界についても二人が見た範囲でしか情報がありません。
ところが、終盤でヌコが出てくるあたりから急展開します。
そして謎の生命体エリンギ登場、ユーリは食われちゃうし混乱を極めます。
序盤の少ない情報量とは一転して、潜水艦の中でカメラを通してたくさんの人の見てきた情報が一気に流れ込んできて、今の世界に至るまでの過程が断片的に映し出されます。
なぜ世界は滅びたのか?
戦争があって、生き物はほとんど死に絶える。
と、書くとよくある世紀末モノっぽいですが、過去が映し出されるシーンで人vs人だけではなく、超文明の兵器が戦うみたいなシーンがあります。
旅の途中でもロボットがビームを発射して街が燃えていました。
超文明の技術を使って豊かになったが、その技術を戦争に使って滅亡した、みたいなベタな解釈をしたけど…どーなんでしょうね。
超文明のロボットが暴走したのかなーとも考えたけど、サカナを育てるロボットや都市機能を維持するロボットや地下鉄がちゃんと動いていたことを考えると、暴走があったとしても人類が超文明を使って戦争をしたけど制御できなかった的なトリガーがあってこうなったんだろうと想像しました。きっと、今の世界になる前は全く戦争のない平和な世界だったんじゃないかなぁ。
ケッテンクラートもそうだけど、都市文明の異様な発達ぶりに比べると登場する兵器が二次大戦期~せいぜい現代までのものばかり。
このあたりの対比も鮮やかです。
バベルの塔
世界が階層構造になっているところや、らせん構造、下層ほど文明が古く、上層に行くほど超文明になっていくところはバベルの塔を連想させます。
下層~上層と文明を積み重ねていて、下層の兵器は古く、上層の兵器は未来兵器となっているのかもしれないですね。
仮にバベルの塔として考えると最上階に到達した時に人と神はひとつになるわけで、チトとユーリが最上階に行ったらひとつになって神様になる…のかな?(意味深)
エリンギ
神様といえば謎の生物、エリンギの存在も考えさせられます。
チトも気づいていましたが、宗教施設で神として祀られていたのは恐らくエリンギでしょう。
エリンギは崩壊前から神として存在していたのか?
それとも神として崇められているエリンギを模して作られた生物なのか?
傘がめくれて本体が出てくる描写を見ると、元から神として存在していたのではないかと思います。
神を模して作ったのであれば、そんな機能(?)は必要ないですし。
エリンギたちは崩壊した世界を浄化するために降臨して下層から上層へと移動している感じでしょうか。
エリンギが飛べるとは言え、空は空ではなく天井のようなので、1階層ずつあがっていくしかなさそうですし。
あと、エリンギの最後の言葉も気になります。
最上層以外をほとんど監視しているが生きている人間は二人しかしらない…ってカナザワとイシイは死亡確定ってことでしょうか。
悲しいところではありますが、絶望しかない世界観を考えると、そうだよね…と納得してしまう部分でもあります。
総評
とてもおもしろかったです。はい。
未見の方は、とても良い作品なのでぜひ見て欲しい。
原作はこの先もあるようなので、最後までアニメで見たいです…